接地時間を短くして、楽に速く長く走る
接地時間を短くして、楽に速く長く走る
Garminでは胸バンドやランニングポッドを装着することにより、様々なランニングダイナミクスのデータを得ることができます。
このページでは、接地時間(GCT;Ground Contact Time)の説明と、接地時間を短くすることによってランニング効率を改善する対策についてまとめています。
接地時間
Garmin公式サイトでは以下の説明があります。
接地時間
接地時間とは、ランニング中に足が地面についている合計時間のことです。接地時間は通常とても短く、ミリ秒(ms)で測定されます。一流ランナーになるとさらに短く、多くは200ms未満です。経験豊富なランナーになると、ほぼすべての人が300ms以下です。これは、足をすばやく「持ち上げ」て接地時にオーバーストライドしないようにすることを学んでいるためです。オーバーストライドは、足が上体よりもはるか前に着地するランニングスタイルで、走りにブレーキをかけ、通常、長時間の足の接地につながります。
https://www.garmin.co.jp/minisite/garmin-technology/running/
接地時間については色々な議論がありますが、接地時間が短い方が重心着地ができている、体が安定している、地面から反発をもらう走りができているため、余計な筋力を使わないため、効率的な走りができている指標になります。
接地時間の目安
一般的に、速く走れば接地時間は短く、ゆっくり走れば接地時間は長くなります。
一流ランナーだと200ms未満で走るとGarminに書かれているとおり、たしかに野口みずきさんや高橋尚子さんはキロ3分くらいのペースで170ms以下です。しかし、ゆ~っくり走れば200ms以上になりますし、サブ4レベルの人でも100m全力で走れば180ms以下になります。
このため走るスピードに対する接地時間がポイントになります。違うスピードで比べてもあまり意味がありません。
でもこのスピードと接地時間に関する情報があまりなく、測定によって得られたデータが良いレベルなのか、どう活用すればいいのか、いまいち分かりません。
参考までですが、私の周りにいるサブ3.5レベルのランナーは、だいたいキロ5分30秒ペース、ピッチ180spmの場合、220~230msくらいの方が多いです。Garminを活用している創価大学学生データではキロ4分で190msだそうです。
個人的にはサブ4ペース(キロ5分30秒くらい)より遅いペースで走る際は、あまり気にしなくてよいと思っています。しかし、キロ5分切ってくると、ランニング効率の良し悪しが顕著にタイムや疲れに表れてきます。接地時間が長くなる要因が何であるかを把握して、改善することにより効率の良い走りにつなげていきましょう。
接地時間が長くなる要因
接地時間が長くなる要因は、大きく3つあります。
①重心(骨盤真横より少し前)より前で脚を着地している
骨盤より前で接地すると、接地⇒骨盤が足の上を通りすぎる⇒足が離れるという流れとなり、時間がかかります。
キロ4分30秒以下で接地時間が220ms以上ある場合は、この可能性が高いと思います。また、ペースが速くても遅くてもあまり接地時間が変わらない場合、早く走ろうとストライドを前方へ伸ばしているため、より前着地になっている可能性があります。下り坂で接地時間が伸びている場合は、重心より前着地になっていてブレーキをかけながら走っていることが分かります。
②体の沈みこみやブレ
着地時に膝や腰が落ちていたり、身体の安定性が悪くぶれるため、着地⇒(ふらつきを抑えて)膝を伸ばして身体を持ち上げる⇒足が離れるという流れになり、時間がかかります。
③地面からの反発ではなく、地面を押している
地面からの反発による走りができていない走りになっているため、地面を押して蹴る動作に時間がかかります。同じペースでも地面の反発によって足がすぐにあがれば接地時間は短くなるため、うまく地面の反発をもらっているかどうかの指標になります。
データだけではどれが要因となっているのかは分かりませんので、自分の走りを見てもらったり、撮影して確認して、データと合わせて解析してみてください。
このほか、日々のコンディションによっても変わります。このためいつもより接地時間が長いようだと、疲れがたまっているのかもしれません。
一方、接地時間が短いと絶対良いかというと一概には言えません。
例えば、重心真下であまり膝を曲げずに着地すると、接地時間は短く速く走れますが、長く走ると膝や太ももにきます。また地面との反発だけで速く足が上がっている場合は、地面をしっかり押せていないためストライドを長くするのが難しく、ピッチ上限に達するとタイムが伸び悩んだりします。
すべてのデータにおいて言えることですが、1つの指標やデータだけにこだわりすぎず、実際の動きと合わせて考えていくことが重要です。
改善方法
改善方法について、いくつかご紹介します。
①前着地
・その場ジャンプからスキップを行い、重心の真下に接地する感覚をつかむ。そのまま「流し」を行い、真下接地イメージを走りにつなげる。参考;https://runnet.jp/shop/blog/2331747_3235.html
・壁に両手をついて走る際の腰高を意識した前傾状態をつくる。この状態で片足ずつ脚の上げ下げを行い、着地時のイメージをつかむ。マウンテンクライマーは体幹トレも合わせてできて良いです。
・バウンディングで、ストライドを後ろに伸ばす動きを覚える。
②体のブレ、沈み込み
・プライオメトリクス
踏み台を使用した両足ジャンプ昇り降り、バーピー、スプリットジャンプなど
・股関節のストレッチや股関節の屈曲を使うドリル
腰落ち、膝落ちになっている原因の多くは、股関節周りが固かったり、股関節をうまく使えないために、腰落ちや膝で衝撃をカバーし、ブレが発生しやすい状態になっています。接地時に腰を屈曲させることができるよう、骨盤を立てた状態で、足首を使わず股関節の屈曲を意識した両足ジャンプや片足ジャンプを行ってみましょう。
・体幹トレーニング(腹筋、背筋、プランクなど)
③反発
・坂道トレーニング
下り坂は接地時の安定性をつくる上でも有効です。
・ジャンプ/縄跳び
足首、膝はあまり曲げずに地面に着いている時間を短く、股関節の屈曲を使ってその場でジャンプ/縄跳びをする。
接地時間は、ランニングフォームの改善やペースを変化させた際にどう変化するのか、一つの指標になるかと思います。動きと合わせてデータ解析でより効率の良い走りにつなげていってください。